消費者のニーズを探るうえで、現場に行って消費者の行動を観察することは大きな意味があります。
ECサイトに代表されるインターネットを介した商取引の場合、実際に購入する消費者の姿が見えにくいという欠点があります。消費者ニーズをいくら考えても、それはあくまでもサービス提供側の考えであって、消費者のニーズとずれている場合もあります。
今回はコトラーの6O理論をもとに消費者ニーズを探る方法について考えてみたいと思います。
コトラーの6O理論
マーケット(市場)とは、ひとことでで言えば「消費者の集まり」のことです。
コトラーは
「マーケットとは、製品やサービスを購買している、あるいは購買する見込みのあるすべての個人及び組織体の集合である」と、定義しています。
そして、マーケットを構成する要因を、6つのOとしてまとめています。
Objects-何を購入するのか
Objectives-なぜ購入するのか
Organization-誰が購入するのか
Operation-どんな方法で購入するのか
Occasion-いつ購入するのか
Outlets-どこで購入するのか
消費者行動を戦略的にチェックするポイントとして定義されています。それぞれの頭文字をとって「6O」と言われています。
まずは、自社のマーケットのことをよく理解する必要があります。マーケットがどのような状況にあるのか、どのようになろうとしているのか、深く理解しようとする努力が必要です。
今回は6O理論のうち、以下の3つに絞って見てみます。
Objectives-なぜ購入するのか
Organization-誰が購入するのか
Occasion-いつ購入するのか
なぜ購入するのか
「あなたを選ぶ理由となる価値」が必要です。あなたが持つ価値だけでは足りません。他社ではなくあなたを選ぶ理由になる必要があります。
これは、バリュー・プロポジションとも言われます。自社のバリュー・プロポジションを消費者へ明確に伝えることが非常に大切です。
良いバリュー・プロポジションであるために、以下3つのポイントを意識すると良いです。
・悩みの解決や、状況の向上を説明していること
・具体的なベネフィットが明確であること
・あなたを選ぶ理由と、他を選ばない理由を説明していること
参考記事「バリュー・プロポジションを方程式で表すと」
誰が購入するのか
ビジネスを成功させるには、まずターゲットとする顧客の設定が重要です。誰が購入するかを明確にしておくことです。
ターゲットを明確にするのに、ペルソナの設定が有効な手段です。ペルソナをしっかりと作り上げれば、良質な見込み客や優良顧客の獲得につながります。
ペルソナとは、マーケティングにおいては、「企業が提供する製品・サービスにとって、もっとも重要で象徴的なユーザーモデル」という意味で使われている。
ペルソナとは、あなたのビジネスにとってベストな顧客像を明確にすることです。
ペルソナはターゲットセグメントや、顧客像を箇条書きにしたものではありません。理想の顧客像であるペルソナを、実在する人物のようにその特徴を明確に設定することがポイントです。
ペルソナの設定については、過去の記事に書いてありますので、ぜひご参考にしてみてください。
参考記事「ターゲットを絞り込む」
いつ購入するのか
消費者が持つニーズがいつ購買行動へと変化するか捉えることが大切です。
商品を見つけてから購入するまでの心理的なステップがあります。そのステップを理解することで、いつ購入するかを知ることができます。
消費者が購入へ向かう際の心理状況のステップを理解するのに、AIDAモデルという考え方があります。
AIDAモデルとは、消費者が商品に接してから購買にいたるまでの決定プロセスです。
「Attention(注目)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Action(行動)」の4つの頭文字を取っています。
消費者の心理がこの順序で動いていきます。この購買決定プロセスに沿ってビジネスやマーケティングを構築することが大切です。消費者心理を理解することが消費者ニーズを探ることにもつながり、結果ビジネスを成長させることにもなります。
参考記事「消費者心理を理解する – AIDAモデルとその先」
まとめ
市場全体のニーズの傾向が、自社のビジネスに合ったものであるかはわかりません。
例えば、市場ではAという商品が人気なのに、この店ではBという商品が売れているとします。これはよくある現象で、こういった現象に出会ったときに「なぜ」という疑問を持つことが大切です。その現象の意味するところを探ることが、消費者ニーズを探る効果的な方法のひとつだと思います。
消費者ニーズを探ることは、ビジネスにおいて必要なものです。そのニーズの意味に気付くためには、日頃から消費者の立場に立って消費者ニーズを捉えようとすることが大切です。