こんにちは、荒井(@yutakarai)です。
「三方よし」って聞いたことはありますか?
これは、商売をするものなら誰しも大切にしなければならない教えです。
何を目指して商売をすれば良いのかを見失いかけたときには、あるべき姿に導いてくれる言葉だと言えます。
僕自身、ビジネスの基本的な考え方はこの三方よしから学んでいます。(行動規範として書いているくらいです)
今回は、「三方よし」について紹介したいと思います。
- 「三方よし」とは?
- 近江商人の商売十訓
- 商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
- 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
- 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
- 資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
- 無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
- 良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
- 紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
- 正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
- 今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
- 商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
- まとめ
「三方よし」とは?
三方よしとは、近江商人の商売理念といわれるもので
「売り手」「買い手」「世間」
の三方それぞれにとって良い状態のことを言います。
この三方がよしとなるような商売をしなさいという教えです。
・売り手よし
・買い手よし
・世間よし
売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商売であると考えです。
近江商人は、自分たちの利益ばかりを考えるのではなく、商売を通して人のためになることを行いました。
そうして蓄積していった信用は、やがて近江商人に大きな利益をもたらすことになります。
そこで得た利益を、今度は学校や橋の建設に寄付し、社会にも大きく貢献したそうです。
今でも、この近江商人が残した「三方よし」は多くの経営者の指針となっています。
近江商人の商売十訓
近江商人には「三方よし」の教えの他に、商売十訓というものを掲げていました。
以下に紹介します。
商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
人のためにならないようなことやモノを売って、お金を儲けをするのは詐欺と変わりありません。
ですが、人の役にたつ商売をして「利益を得る」こと自体は悪いことではありません。
僕たち日本人に顕著ですが、「金儲けは悪」「お金の話はしづらい」という意識がどこかにあるものです。しかし真っ当なビジネスをしているのであれば、そんな考えは必要ないわけです。
利益に見合う、もしくはそれ以上の貢献をしているのであれば、利益を得ることを後ろめたく感じる必要はないです。
店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
大切なのは見た目ではない、ということです。
店の外観や立地、豪華なオフィス、外から見えるイメージを重視しすぎてはいけないということです。
少しでも儲かってくると、すぐ良い立地のオフィスを借りてしまいがちです。企業としての見栄えは多少よくなるかもしれませんが、身の丈に合わないものにお金をかける必要はありません。
いくら見た目が良くても、サービスや品物が悪ければその会社は長続きしません。逆に言えば、いくら見た目が悪くてもいいサービスを提供していれば、お客様にも気に入られるし、ビジネスが長続きします。
売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
これは、今でいう「顧客サポート」や「アフターサービス」のことです。
営業が得意で、売るのが得意な会社もありますが「売ったら終わり」のビジネスは収益性としても良くありません。売った後に、お客様と良い関係性を保つには「顧客サポート」が大切です。
売ったら終わり、というのが一番よくありません。
顧客サポートがなければ、「うまく言いくるめられて買ってしまった」という悪い印象だけが残ってしまうかもしれません。
資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
「信用経済の時代だ!」と最近よく聞くようになりましたが、信用は一朝一夕で得られるものではありません。
ひたすら愚直に取り組んでいくことで、信用が蓄積されていきます。
もちろんお金がなければ何もできませんので、お金は大切です。ですが、資金がつきそうになったときも大切なのは信用です。信用がなければ借金もできません。
大切にすべきなのは「信用」です。
無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
「客の好むものも売るな」とあります。
お客様が欲しいものを作って売ることの何が悪いんでしょうか?
「客の好むものも売る」というのは、お客様の要望に全て答えることにつながります。
そうすると「なんでも屋さん」です。
システム開発でいうと、完全に下請け業者になってしまいます。
すでにニーズがあるものをつくれば売上は上がると考えられますが、自社のノウハウやスキルを活かして、本当にお客様のためになるものを考えなければいけません。
良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
価値のある商品やサービスで、
それが多くの人にとって為になるものであれば、より多くの人に広めることは良いことです。
ただ注意しなければいけないのは価格です。
安くしすぎるのはよくありません。
大事なのは、「適正な価格で」ということです。
紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
これは「付加価値をつけよう」ということです。
前述した「適正な価格」にもつながりますが
付加価値をつけることで、お客様の納得感、お得感を感じてもらうことができます。
正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
適切な価格なのかを、提供する前にしっかりと考えなければいけません。
もし自分が買い手の立場だったら、バーゲンばかりしているお店は信用しにくいです。
値下げをしなければ売れないような商品サービスは、価格設定の段階から間違っているのかもしれません。
特に、システム開発事業では
お客様からはその価格が適正かどうかというのが判断が難しいものです。
相見積もりをとったとしても同じことです。
ピンからキリまで見積もり価格があって、見渡したところでどれが良いのか迷います。
結果、安い提案を採用して、安かろう悪かろうに陥るケースがあるわけです。
サービスを多く広めるときにも
適切な価格を設定するということと
これが適切な価格ということをお客様に納得いただくことが大切です。
今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
お客様の満足度を計るには、数字を見るのが一番確実です。会計は大事です。
お客様のために価値を提供してはじめて利益を得られるわけなので、損失が出ているということは「本当にお客様のためにビジネスできていないかもしれない」ということになるかもしれません。
日々振り返りをし、改善に努めなければいけません。
商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
景気が良い、悪いは関係ないということです。
「景気が悪いから・・」というのは言い訳にすぎないです。
ビジネスを続けていくためには、常に儲け続けなければいけません。そして、お客様の為になるものを売っているのであれば、それをより多くの人に届けるためにも儲け続ける必要があります。
まとめ
今回は、「三方よし」の教えについて紹介しました。
近江商人から学ぶべきは、この「三方よし」の考え方だけではなく、商売十訓も非常に重要なものです。
近江商人の教えは、250年以上も受け継がれています。
この教えは、今後もビジネスをする人にとって、原点に戻ることの大切さを教えてくれます。