アカデミー賞の合間に放映されたTech企業のCMに見る各社の思惑

ITビジネス戦略・ビジネスモデル研究

こんにちは、荒井(@yutakarai)です。

アメリカのアカデミー賞は、一年のうちに最も注目を集めるイベントのひとつです。

テレビの視聴者が2017年に比べて16%減少したと言われていますが、それでも多くの人々の注目を集めているイベントです。

アカデミー賞番組の途中に挟まれるCMに、いくつかのTech企業がCMを流しました。
インターネットが発達した現在ですが、マスメディアのCMは今もなお多くの人々の注目を得ることができる方法のひとつです。

アカデミー賞の最中に放映されたCMを見ることで、各企業の進んでいる方向や思惑が浮き彫りになります。

ここではGoogle、Microsoft、TwitterのCMを取り上げてみたいと思います。

Google

Googleは、デジタルアシスタントについてのCMを放映しました。

CMの中では、人が何かをしようとしたときに「Make Google Do it」という言葉が表示されます。

この「Make Google Do it」という言葉のピックアップは非常に的を得ていると思います。

まず、「Google Assistantを手にいれて、Googleにやってもらおう」という一番言いたいGoogleAssistantについては、CMの最後の段階まで言及されません。

それまで言及されているのは
あなたとGoogleとの関係性です。

広告は「Googleにそれをさせよう(Make Google Do it)」と言っていますが、それはユーザーがGoogleに何かの行動を許可していることを暗示しています。

「make」という単語に、Googleとユーザーの関係性が明確にあらわされています。

英語の文法の話になりますが

[私] make [相手] [何を]

とすると、私と相手の関係は、ゆるい主従関係が表現されます。
「命令」とはいかないまでも相手に指示して何かをやってもらうことになります。

ユーザーは、Googleにユーザーができることをさせるわけではありません。
ユーザーは、ユーザーに従属する人のようにGoogleに何かをさせるイメージです。
僕はこの「make」という単語をピックアップしたことは、とても素晴らしいと思います。

Googleは「Make Google Do it」というメッセージを通して、ユーザーが働いているという認識を変えることを目指しているように思います。

興味深いのは、このCMでは、Googleはデジタルアシスタントを人格化していない、という点です。
デジタルアシスタントは単なるツールだ、という認識です。

Microsoft

Microsoftは、SurfaceとXboxの事業を通じてSuper Bowlのスポンサーでもあり、同社はゲームのテレビ放送中に広告を掲載しています。

コモンを特徴とするこの広告は、技術と人工知能の恩恵であり、力を与えるものです。
エンパワーメントは、Microsoft CEOのSatya Nadellaのプレゼンテーションの共通のスレッドです。
技術は人類がより多くのことを行い、より良いものになり、潜在力を発揮できるようにするべきだとしっかり考えています。

AIとMixed Realityは、Microsoftのビジネスにとって重要な2つの分野です。

携帯電話事業を失ったいま、Microsoftは次世代に力を与える技術を逃したくないことは明らかです。

しかし、ビジネス上のアプローチは、ユーザーへの露出を制限しています。

MicrosoftのCortanaは、AlexaやGoogle Assistant、Siriに比べると遅れをとっています。

CMは、マイクロソフトがWindowsやPCだけでなく幅広い人々の間で認知を広めるように作られています。
しかし、このCMだけでは、IBMのWatsonのCMであってもおかしくありません。
MicrosoftのAIを利用する理由を消費者にアプローチできていないように感じます。

MicrosoftのこのCMは、イマイチ感がいなめません。

Twitter

これはTwitterにとって、初のテレビCMでした。

著名なメディアやマーケティングエグゼクティブなど錚々たるメンバーが出演しています。

白黒の映像を通して、ニューヨーク生まれの詩人Denice Frohmanによって書かれた詩が朗読されています。

Twitterは、差別的な発言や性的嫌がらせをしているユーザーを監視するために、長いこと努力を続けています。
なので、今回のCMについて賛否両論があることは、そんなに驚くことではありません。

ある人たちは、素晴らしい取り組みであることを賞賛し、Twitterの努力を評価しました。

またある人たちは、Twitterが収益状況を知りたいと主張しています。

そして、またある人たちは、より多くのエンジニアを雇うか、モニタリングを手助けする新しいAI技術を検討したほうが良いと指摘をしています。
CMに費やされた多額の資金を、プラットフォーム自体の改善に役立てるべきだと、CMへの投資を批判されているわけです。

まとめ

アカデミー賞では、他の企業(T-Mobile、Walmart、GE、Nestなど)のCMの数も増えましたが、僕がここで選んだ企業は、そのブランドがビジネスのどこにあるかを最もよく表していると考えたため、これらの3つの企業をピックアップしました。

CMを見ることで、各社それぞれの現在の状況や、今後の思惑や方向性が垣間見ることができて興味深いです。