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アフターコロナ時代のイノベーションのためにナッシュ均衡を意識する

ITビジネス戦略・ビジネスモデル研究

ゲーム理論のナッシュ均衡を考えてみます。

ゲーム理論について、書籍「世界標準の経営理論」では以下のように説明されています。

ゲーム理論とは

ゲーム理論とは、例えば「相手がある行動を取ったら、自分はどう行動するか」あるいは「自分がある行動を取ったら、それに対して相手はどう行動するか」といった、相手の行動を合理的に予想しながら、互いの意思決定・行動の相互依存関係メカニズムと、その帰結を分析するものだ。

ビジネスは自社だけで完結しません。実際のビジネスでは、常に競争相手が存在します。

次の手の読み合いや、相手の反応によって自社の意思決定を変えたりする必要があります。自社と競争相手、相互のメカニズムを解明しようというのがゲーム理論の大きなポイントです。

ゲーム理論には様々な概念が存在しています。
・同時ゲーム
・数量ゲーム
・支配戦略
・ナッシュ均衡
などなど。

ここでの詳細は省きます。多くの専門書籍や他のウェブページで解説されているので、そちらをご参照いただけたらと思います。

ここでは「アフターコロナ時代のイノベーションのためにナッシュ均衡を意識する」というテーマのとおり、ナッシュ均衡について考えてみたいと思います。

ナッシュ均衡とは

まずナッシュ均衡について。

ゲーム理論における非協力ゲームの解の一種であり、いくつかの解の概念の中で最も基本的な概念である。

ナッシュ均衡は、他のプレーヤーの戦略を所与とした場合、どのプレーヤーも自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない戦略の組み合わせである。ナッシュ均衡の下では、どのプレーヤーも戦略を変更する誘因を持たない。

例えば、A社とB社が競合関係にあるとします。そしてその両社が、商品の生産量を「現状維持」にするか「増加」するかの意思決定をそれぞれが検討しているとします。

こういった場合、一般的には自社の都合だけで考えず、競合の動きを読むことで意思決定をする必要があります。そしてお互いが読み合った結果に意思決定した結果(状態)のことを「ナッシュ均衡」と呼びます。

ナッシュ均衡には重要な特徴があります。

1. 安定的であること
2. 必ずしも最善の状態ではないこと

先ほどの例だと、「生産量を増やす」ことがナッシュ均衡だとすると、競争状態が安定的になります。そして、特徴的なのは、一度均衡すると中々変えられない状態になるということです。

また、「生産量を増加」した結果が、両社にとって最善の結果にならない場合もあります。たとえば、結果的に現状維持のほうが利益が上がる、ということもあり得るわけです。

ナッシュ均衡は業界を衰退させる可能性もある

ビジネスの世界では特に「どうしてこんなことをするんだろう」というような、その業界特有の制度や慣習、慣例があります。そしてそういったものは、なかなか変えられないことが多いです。

その業界内の人々が意思決定してきた結果(ナッシュ均衡)が、俯瞰してみると合理的とは思えない状況を作り出すわけです。

この現象は興味深い反面、とても恐ろしいことでもあります。良かれと思って意思決定した結果が、業界を衰退させる可能性も秘めているわけです。

人々が意思決定した結果が、俯瞰してみると合理的とは思えない状況を作り出すという現象は、そこら中で見ることができます。

よく考えると意味がわからない慣習というものはたくさんありますよね。
・ハンコやサイン
・紙で印刷した書類
・通勤電車

こんなことを言ってしまうと誰かに怒られそうですが、長い時間をかけてたくさんの人々が作り上げてきた慣習ほどムダが多く存在しています。そして日々の小さなムダは、積もり積もって大きな損失につながっていきます。

しかし、そうした慣習を変えるのはとても難しいのも事実。

いくら「ペーパーレスだ」と言って取り組みをしても、いまだに業務運用の中でプリントアウトしている場面が多くあります。

また、「これからはハンコは必要ない」と言って、契約書をオンライン化できるクラウドサービスが出たところで、多くの企業への普及には至っていないのが現状です。

非常時がきっかけでナッシュ均衡が崩れイノベーションが生まれる

いま新型コロナの影響によって、ムダのある慣習が少しずつ見直されてきています。

・リモートワークの導入
・ペーパーレスの普及
・オンライン会議

歴史を振り返ると、これまでに起こったイノベーションは、災害や大不況など「非常時」がきっかけに起こっています。そして今は、平時ではなく世界的な非常時です。

新型コロナは、半ば強制的に僕たちの生活や慣習の見直しを強いているようです。

ナッシュ均衡に陥った「合理的でない制度や慣習」を見直して、変革する絶好の機会になるのではないでしょうか。そこには僕らにとっても大きなビジネスチャンスが眠っているはずです。