いまやあらゆる業界の経営者層のうち、約85%が今後5年間でAIがビジネスのやり方を大きく変えると考えているそうです。
しかし、AI活用の着手に二の足を踏んでいる企業も少なくありません。
着手に踏み切れない理由
着手に踏み切れない理由はさまざまです。
・自社事業に適用できるかわからない
・AIで何ができるかわからない
・投資対効果(ROI)が不明瞭
・どこから手をつけて良いかわからない
AI活用事例のニュースは、新聞や雑誌、ネットニュースを見ればたくさん見つけることができます。興味はあるものの、いざ自社事業へ目線を戻すと、どうすれば良いのかわからないという声をよく聞きます。
自動運転車、顔認識システム、などの事例に触れると、SF映画のような世界が近づいていることを感じます。それとともに、AI技術とそのユビキタス性についての誇大広告があまりにも多いのも事実です。AIの現実的な能力についても知ることが重要です。
経営企画、管理者層、システム部門の人は、AIが自社事業に適用できる領域はどこなのか、また適用することのメリットはどのくらいあるのか見極めることが必要となります。しかし、その見極めが難しいところが着手に踏み切れない大きな理由のひとつではないでしょうか。
いつAI活用に着手するか、タイミングの見極めかた
それでは、着手のタイミングの見極めるにはどうすれば良いでしょうか。
着手のタイミングの見極めにあたり、参考になる大きな指標は「他社事例」です。
・同業他社での事例
・他業種、類似技術の事例
たとえば、自社が倉庫事業を営んでいるとします。
最近の傾向では、倉庫や配送センターで、AIが倉庫のピッキング作業を自動化するために、AIとロボットの活用が増えています。
この活用が始まったきっかけは、アマゾンのような業界のリーディングカンパニーが、倉庫業務の自動化について触れているタイミングである場合が多いです。
要するに、同じ業界のリーディングカンパニーの動向をウォッチする、ということです。この場合は、日本国内だけでなくAI技術の先を行っているアメリカや中国の企業も参考にしておくべきです。
また他業種でも、類似技術の事例も非常に参考になります。
たとえば、倉庫内の在庫削減のために需要予測をしたいとします。そういった場合は、なにも同業他社に限定して調査する必要はないわけです。他業種で、需要予測に取り組んでいる事例を調査することで、うまくいっているかどうか、どういったデータを使っているか、開発にはどのくらいの期間が必要なのか、などを参考にすることができます。
失敗事例も参考になります。しかし、成功事例にくらべ失敗事例は公に情報が出にくい傾向があるため、外部のパートナーなどのAIプロジェクトを手がける専門家からの助言を参考にすることも、着手のタイミングの見極めには有効な手段です。
AI活用事例は次々と生まれている
さまざまな業界で、ビジネスケースに合わせたAIの活用事例が増えてきています。
AIが画像を分析し、ほくろが良性か悪性かを見分ける。
銀行業務では、AIがクレジットカードの異常な利用パターンを検知し、不正行為が起こる前に通知。
以前に以下の記事で製造業における活用事例を紹介しました。
このような活用事例は、様々な事業におけるAIの役割を確固たるものにしつつあります。
同時に、現在行っているAIの研究開発が、早期導入のリスクに見合うだけの大きな価値が見込めるならば、イノベーションを起こす可能性もあるわけです。
古い業界(レガシー産業)であればあるほど、IT技術の活用は遅い傾向があります。
自社事業の競争力強化のための第一歩として、他社の事例の調査から行ってみてはいかがでしょうか。