Deloitteの調査によると、企業のデジタル成熟度は成長と財務的成功の最も重要な指標のひとつであるということです。
このことは、アフターコロナ時代へと移行するにつれ、ますます顕著になってきています。
デジタル化で業界の常識を破ろうとする動き
「デジタル・トランスフォーメーション2020」の調査結果によると、経営陣がデジタル・トランスフォーメーションへ舵を切ると判断した企業は、昨年の収益成長を達成する可能性が3倍高くなっていることが明らかになりました。
人工知能(AI)、ビッグデータ、IoTなどの先端IT技術がブームになっていることを考えると、これは特に驚くべきことではないように思われます。
しかし、レポート結果をさらに深く掘り下げてみると、デジタル戦略の推進によって、イノベーションと新しいビジネスモデルの開発に注力している企業では、特に成長が顕著であることがわかります。言葉を変えると、データとデジタル技術を使い今までの業界の常識を破ろうとすることで、新しい強みを生み出していると言うことができます。
特筆すべきは、このレポートは新型コロナに起因する騒動が起きる前に実施されたということです。平時でない今、より一層この傾向が強くなってきているはずです。
大企業もデジタル化に舵を切っている。中小企業こそ舵を切るべき
レポートでは、大企業が「デジタルファースト」の子会社を設立する傾向があることに注目しています。
たとえば、
・Telefonica社のSIM専用電話サービス「Gaffgaff」
・Goldman Sachs社のオンライン貯蓄口座サービス「Marcus」
などです。
特徴的なのは、はじめから「デジタル・ネイティブ」になるように設計されているという点です。そうすることで、レガシーなインフラの問題に左右されることなく、より機敏なスタートアップ企業や潜在的なディスラプターと俊敏に競争できるようになるという狙いがあります。
こういった流れから学ぶべき教訓は、小規模な企業や組織であってもデジタル技術を活用するフットワーク軽さを持つということではないでしょうか。
・意志決定の早さ
・戦略転換(ピボット)
・面白いことをすぐやるノリ
・高速PDCAでまわすマーケティングテスト
中小企業こそデジタル化に舵を切れるフットワークこそが必要なのではと感じています。
デジタル成熟度がもたらす結果
このレポートでは、デジタル化の推進を通して見えてきた利益と、組織の成長とイノベーションへの注力を可能にしているかどうかの評価をしてもらったそうです。主な結果は以下となりました。
・デジタル成熟度が高い企業は、2~3倍の利益を達成する可能性が高い
・デジタル成熟度が高い企業は、イノベーションと成長に力を入れている可能性が高い
・成熟度の高い企業の45%が、業界平均を上回る純収益成長を達成した
・対して、成熟度の高いと評価されていない企業での純収益成長は15%となった
また、成熟度の高い企業ほど、IoTなどの「コネクテッド」な製品やサービスを提供している可能性が非常に高かったそうです。あわせて、モバイルアプリやウェブを介してリアルタイムで顧客へのサービス提供に力を入れていることもわかりました。
最近では、IoT技術を活用しデータ駆動型の顧客インサイトを得ることで、顧客に高価値なサービスを提供する企業が増えている傾向があるとのことです。
さいごに
今回紹介したレポートでは、成長とイノベーションを主導する戦略への投資が、ますます良い成果をもたらしていることが示されています。
業務の効率化と成長を目指して自社サービスのデジタル化にうまく適応している企業では、社会の変化によってサービスが深刻な状況に陥る可能性は低いです。
「もし自社がデジタルネイティブに生まれ変わったら」と仮定して考えることで、アイデアの可能性も広がるはずです。新型コロナの騒動は、半ば強制的にデジタル化の推進を強いているような気がしています。