アドブロックを利用していますか?いま全世界にアドブロックの利用が広まっています。
アドブロックがいつごろから流行り始めたのかGoogleトレンドで調べてみました。
Googleトレンドで見る「Ad Block」
Googleトレンドで見る「広告ブロック」
Googleトレンドで見ると、2013年の初めごろからアドブロックの検索数が多くなってきています。
このころから広告を非表示にするアプリケーションや、ブラウザのプラグインの利用が活発になっているようです。
収入が高いユーザー層が多く広告をブロックしている
アドブロックについて、面白い調査データがComscoreから公開されました。
収入が高いユーザー層が多く広告をブロックする傾向があるということです。
この図は、最も収入が高いユーザーと平均的なユーザーを比べた際の広告ブロックの割合(%)の違いになります。
広告主は自社の商品やサービスをユーザーに買ってもらうことが一番の目的です。
しかしこの図を見ると、広告主がターゲットとしているユーザー層を逃している可能性があるということが推測できます。
また、Comscoreの調査では、女性に比べ男性のほうが広告ブロックを利用している割合が多いということです。
デジタル広告がテレビ広告と同じ状況になりつつある
デジタル広告(インターネット上の広告)の近年の状況を観察してみると、テレビ広告の状況と似ているところが多々あることがわかります。
CMに代表されるテレビ広告の現状
テレビの広告とは、番組の合間に放送されるCMです。時間帯や視聴率によって違うようですが、CMを出すのに数千万円から数億円かかると言われています。テレビでの広告費の高騰することで、資本のある企業しか広告を出せない状況になっています。
しかし、近年になってインターネットやスマートフォンが普及してからは、CMの効果が薄れてきています。CMに入ると、手元に置いてあるスマホをチェックしたりするようになりました。いくら視聴率が良くても、CMを見てもらわなければ意味がありません。
デジタル広告も同じ道を歩みつつある
デジタル広告の現状を見ると、テレビ広告と似ていることがわかります。広告を出す媒体やPPC広告のキーワード設定によって、かかる広告費は異なりますが、大きな広告効果を狙う場合はある程度の金額をかける必要があります。効果が高いと思われる広告を出すには、多くの広告費が必要になります。
しかし、デジタル広告もその効果が薄れてきています。アドブロックアプリを利用して、広告を表示しないようにしたり、広告が表示されても興味を持たない人が多くなっています。独自でメディア媒体(ホームページ)を持っていてページビューがあったとしても、その中で表示される広告に興味を持つユーザーは少なくなってきています。
世界中のデジタル広告の半数以上は、閲覧されずに終わっているという悲しい調査データもあります。国別のディスプレイ広告でみると、ビューアビリティは39%から50%になります。
ビューアビリティとは
広告掲載インプレッションのうち、実際にユーザーが閲覧できる状態にあったインプレッション(ビューアブルインプレッション)の比率のこと。
PPC広告を例にすると、広告掲載者は、広告をクリックしてくれればお金が入りますから、ユーザーの操作間違いであろうと広告をクリックしてくれればいいわけです。
しかし、広告主からしたらたまったもんじゃありません。その広告クリックが興味を持ったクリックか、間違えてクリックしたものなのか、どちらであろうと同じ広告費がかかります。
健全なデジタル広告にするには
これだけアドブロックの利用が広まるには理由があるはずです。
広告が嫌われる理由のひとつに「悪質な広告や不快な広告の増加」が挙げられるんではないでしょうか。無効なインプレッションやクリック数を稼いで、広告費用に対する成約数や広告効果などを水増しする不正広告などもあります。
GoogleやFacebook、Twitterなど広告収入を主な収入源とするメディア媒体は、どうしたら広告効果があげられるか日々試行錯誤を繰り返していると思われます。
Snapchatも数年前より広告表示を開始していますが、他とは一線を期すタイプのサービスであるSnapchatでどこまでの広告効果が出るかまだ未知なところが大きいです。
デジタル広告業界は順調に成長してきましたが、一方でその広告効果は薄れてきています。広告効果を上げるためには、クリーンな広告配信に取り組むことが必要だと思います。ユーザーに閲覧される機会のある広告を、不正を排除しながら配信しなければいけません。ユーザーに見られない広告は、広告主にとっては広告の意味が全くないからです。
広告に対するユーザーの信頼が低くなっているいま、「ユーザーへ価値を提供する」というビジネスの本来の目的に立ち戻って、ユーザーにとって有益な広告は何かをよく考える必要があるんだと思います。