みなさんは「VR(バーチャルリアリティ)」という技術をご存じでしょうか。もし知らないという方でも「バーチャルリアリティ」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。
VRとはその言葉通り、「バーチャル(仮想的)リアリティ(現実)」です。人工的に作り出した仮想世界にまるで自分がいるかのような、視覚、嗅覚、味覚、触覚まで再現できる技術です。
最近では頭に専用の機器を取り付けることでVRを体験できるゲーム機なども登場し、VRは無限の可能性を秘めた技術としてとても注目されています。
今まではゲームや映像といったエンターテインメントの要素が強かったVRですが、これからはビジネスにも活用される時代になっていくでしょう。
この記事では、可能性に満ちたVR技術がどのようにビジネスに影響しているのかを紹介していきます。
VRの可能性はまだまだ未知数
VRの研究はまだまだ発展途上で市場の拡大もとても緩やかですが、2019年には約4,000億円ほどまで規模を拡大しています。
これまで日陰に隠れていたVRの名を広く世に知らしめたのは、なんといっても「Pokemon Go」の存在です。それまでは専用の機器を利用したり施設に出向かなければ体験できなかったVRが、スマホゲームという形で体験できるようになったからです。
GPS情報を利用しながらモンスターのいる地点まで移動し、カメラ機能越しにモンスターと対峙するという斬新なアイデアが大ヒットしました。
こういった経歴からVRはゲームなどのようなエンターテインメントのイメージが強く定着してしまっていますが、ほかの分野でも活用できるのではないかと日々研究が進められています。
VRはビジネスに活用できる
VRは“仮想的に現実を作り出すことができる”すばらしい技術なので、活躍の場はどんどんと広がっています。
ここからは、VRが実際にどのような場面で活用されているのかを5つの例でご紹介します!
VRを利用して社員のトレーニングを行っている
小売り大手の「ウォルマート」では、米国内で雇用している100万人の従業員を対象に一体型ヘッドセット「Oculus Go」を利用して研修を行うプランをたてています。
2017年に行ったVRトレーニングの実験では、通常のトレーニングと比べて満足度が30%も向上したうえに、VRトレーニングを体験した全体の70%もの従業員が高いパフォーマンスを発揮したのです。
接客や業務に関する動作は、筆記用具とプリントを利用したトレーニングだけでは限界があります。
ですが、まるでその場に居合わせているかのような仮想空間を利用することで、空気感を肌を感じ取ってより自分の成長につなげることができるのです。
こういった方法で従業員の能力を上げることができれば、将来的に会社の業績を伸ばす要因の1つになることは間違いありません。
遠隔で業務をすることで支出を大幅に削減
石油の大手企業である「シェブロン」もMR技術の「HoroLens」を活用することで、それまで支出の大部分を占めていた出張費の削減や業務リスクの低下に成功しました。
大手の企業ともなれば子会社やグループ会社への出張や規模によっては海外への出向もあると思いますが、VR技術によって出張する手間が無くなればその分の費用も無くなるので、会社にとっては大きな利益となります。
VRで世界旅行ができる
大手航空会社のANAは「ANA VIRTUAL TRIP」というサービスを提供しています。
このサービスは、旅行者がスマホのビデオ通話機能でVR映像を利用することで、旅行に行けなかった人もまるで一緒に旅行をしているかのような体験ができるサービスです。
突然のハプニングによって自分だけ旅行に行けなくなってしまった…なんて話は今までたくさんありましたが、この技術が広く確立されればそういった事態に陥っても一緒に旅行を楽しむことができます。
バーチャルキャラクターを利用したエンターテインメント
みなさんは「バーチャルキャラクター」というものをご存じですか?
これはキャラクターを演じる人間の体に専用の機器をつけることで、画面上にバーチャルキャラクターを表示させることができて、さらに音声を加えることでまるで生きているかのようなリアルなキャラクターを楽しむことができます。
この技術は動画サイトやお笑い番組などでも活用されていて、今では朝のニュース番組などでも見かけるほど広く普及しています。
今はこういった仮想的な世界をモチーフにしたエンターテインメントが人気なので、上手に活用できればビジネスにも役立つことでしょう。
VR内見
VR技術は不動産会社でも活用されていて、利用者は一体型のヘッドセットを装着することで気になる物件の内見を手軽に行うことができるのです。
今までは利用者と不動産会社が何度も連絡をとって内見の日取りを決めて、そこから実際に不動産に出向いて長い時間をかけて内見をしなければいけませんでした。
ですがこのサービスが開始されてからは屋内にいても不動産の内見ができるようになったので、もし時間がなくて遠方の物件に出向くことができなかったとしても、短い時間で内見を済ませることができるようになったのです。
時間消費をかぎりなく少なくして回転率を上げることができれば、会社の人件費の削減にもつながりますし顧客の獲得にもつながるので、VR技術は不動産業界でもとても注目されています。
このように、VRの技術はどんどんと進化を続けて、ジャンルを問わず幅広い分野で活躍しているのです。
さいごに
今回は、VR技術がどのようにビジネスに活用されているかを実例を交えながら紹介しました。
会社の業態やサービスによっては直接的に利益につながる場合もありますが、従業員のトレーニングや出張費などを削減することが長期的に考えれば大幅なコスト削減につながるケースもあります。
それだけではなくバーチャルキャラクターのように仮想的なステージを用意することで、会社の広告などにも利用できると思います。
ぜひ自分のビジネススタイルに合わせて最善の活用方法を模索してみてください。