株式会社HYPERIAとの共同研究に関するお知らせ

ミツバチを絶滅の危機から救うためにAI,IoT,ビッグデータのテクノロジーを活用

AI・機械学習・ディープラーニング

興味深い動画を見つけました。

いま、花粉媒介者のひとつであるミツバチが絶滅の危機に追い込まれているそうです。

When Bees Thrive, We Survive: The World Bee Project

ミツバチの個体数は減少の一途をたどっており、世界の食糧供給と生物多様性を脅かしています。World Bee Projectでは、Oracle Cloudを使用して、音の解析を通しミツバチの行動を研究し、ミツバチを救うための支援を行っています。

現代の農業は花粉媒介者であるミツバチに依存しています。僕ら人間が食べる物や呼吸する空気など、生態系全体がミツバチに頼っているとも、言うことができます。

しかし、いまミツバチの数は減少しているそうで、同プロジェクトではOracle社との協業プロジェクトで、AI、IoT、ビッグデータを活用しこの問題に取り組んでいるとのことです。

なぜミツバチの個体数は減少しているのか?

IPBES(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)の報告書には、ミツバチが危機に瀕しているということが記されています。

ミツバチが絶滅の危機に追い込まれている理由は、以下のようにたくさんあります。

・生息地の破壊
・都市化
・農薬の使用
・汚染
・自然の花の生息地の分断
・捕食者や寄生虫
・気候の変化

しかし最近まで、ミツバチの個体数を研究したり、世界的な視点からこの問題を研究し解決しようとする取り組みは行われていなかったそうです。

なぜミツバチを救うことが大切なのか?

植物が種子を作り出して繁殖するためには、蝶などの他の受粉媒介者とともに、ミツバチのおかげです。「花粉は虫によって運ばれる」というのは、小学生のときに習った記憶があります。

実際に、ミツバチは果樹、コーヒー、バニラ、綿花など、世界の主要な作物の90%の受粉を助けています。人間に供給される栄養分の40%もの割合をミツバチに依存しています。

もしミツバチが不足していたり活動するために健康でなければ、世界中の作物生産や食糧事情、もっと言うときれいな空気など生きるために必要な環境が危険にさらされることになるわけです。

ミツバチの個体数を監視するためのプロジェクト

World Bee Projectは、世界中のミツバチの個体数をモニタリングするために立ち上げられた民間組織です。

2014年から、同組織は科学者を集めてミツバチの減少という世界的な問題を研究を進めていて、農家、政府、養蜂家、その他の既得権を持つ組織にこの問題についての情報を提供してきたそうです。

そして2018年には、世界的なミツバチ個体数の減少をより理解するための活動にOracle Cloudの技術が持ち込まれ、「The World Bee Project Hive Network」が開始されました。

テクノロジーを活用してミツバチを救う

ミツバチを救うために、どのようにテクノロジーを活用できるのでしょうか?

テクノロジーは、他のプロジェクトに使われるのと同様の方法で、ミツバチを救うために活用することができます。

まず、ミツバチや巣箱からデータを収集できるマイクやカメラなどのIoT機器のセンサーを利用します。

そしてIoTで収集されたデータは、クラウド環境へ蓄積されます(ビッグデータ)。
蓄積されたビッグデータをもとに、AI技術を活用することで問題解決のための多くの洞察を得ることができます。

専門家の知見はもちろん、WiFi技術、ロボット工学、コンピュータビジョンなどの先端IT技術が、問題に対する新たな洞察や解決策を得るのに役立っています。

巣箱の健康状態を示す重要な指標の一つは、巣箱が発する音だそうです。巣箱から聞こえる音で、健康状態がわかるということです。

巣箱に住むミツバチの健康状態を知るためには
・温度
・湿度
・巣箱の重量
などのほか、巣箱から発せられる音に耳を傾ける必要があるということです。

収集されたデータはクラウドサーバに送られ、AIアルゴリズムがデータを分析します。アルゴリズムはパターンを探し、ミツバチたちの行動を予測します。そして、AIから出力された洞察は、養蜂家などに共有され、彼らが巣を保護するための活動をサポートすることができます。

また、クラウド環境はインターネットに接続された環境なので、この仕組みを使って情報を共有/連携しあうことで、世界の異なる地域のミツバチの群れの違いについても詳しく知ることができます。

たとえば、音と視覚センサーは、ミツバチの天敵であるスズメバチを検出することも可能です。スズメバチが飛ぶ音はミツバチの音とは違うので、AIが検知し養蜂家にアラートをあげることもできるわけです。

さいごに

先端IT技術は、なにも新規事業やベンチャー企業のためにあるものではありません。

今回紹介したミツバチの問題のように、いまある環境問題の解決にも活用することができます。

一番大事なのは、「課題が何であるか」ということです。僕自身、今回の動画を見るまで、ミツバチが絶滅の危機にあるということすら知りませんでした。

あたりまえですが、課題は人間が提起するものです。その上で、解決のためにはどういったテクノロジーが使えるか、という段階に進めるわけです。

ここで紹介したWorld Bee Projectも、決して「技術ありき」で立ち上がったわけではなく、「課題ありき」です。「課題が何であるか」は、専門家など知見のある人間がしなければいけません。

今後は、それぞれの領域の専門家同士の連携/協力体勢がより重要になるんだなと、World Bee Projectを調べていて改めて思いました。