こんにちは、荒井です。
海外のスタートアップの事例を通して、新しいビジネスアイデアのきっかけや、ビジネスのヒントを得ようという主旨で、毎回気になった海外スタートアップを紹介しています。
今回紹介するAIビジネスの事例は「KOMPAS」というサービスです。
機械学習を利用した旅行ガイドアプリ KOMPAS
KOMPASは、無料アプリです。
KOMPASUは、あなたの情報、例えば
- 自由な時間
- 予算
- 興味のあること、楽しいと思うこと
というような情報をもとに、あなたに最適な旅行プランを提案してくれるアプリです。
現在の旅行ガイドは時代遅れ
2014年にイギリス・ロンドンで設立されたスタートアップです。
創業者のTom Charman氏1は、以下の問題提起をしています。
いまの旅行ガイドブック等は、時代遅れになってきています。実際は、多くの人がブログや個人の意見を参考に旅行しています。そのため、どこに行くのか、そこに行く方法を探すのに時間が浪費されてしまっています。
この問題の解決方法としてKOMPASを作ったということです。
KOMPASは、ユーザーの興味や、旅行先の場所に基づいて、旅行プラン2を作成してくれます。
地元の人しか知らないようなジャズバー、レストランていうのは、旅行ガイドでは、なかなか載っていないですよね。
僕もタイに長いこと住んでいましたが、はじめこそガイドブックに載っているようなレストランなどに行ってましたが、ガイドブックに載っていない屋台やレストランのほうが、美味しかったりするんですよね。よくタイ人しかいない場所に行っていました。
そういった、観光客にとってレアな場所というのも、このKOMPASアプリが提案してくれます。
機械学習技術を使ったレコメンデーション
KOMPASは、機械学習という技術を利用して、最適な旅行プランを提案してくれるというのが、おおきな特徴のひとつです。
KOMPASにあなたの興味、どれくらいの時間があるか、どれくらい予算があるかを登録するだけで、地元の情報や過去のレビューに合わせた特注の旅行プランを提案してくれます。
要するに、旅行に特化したレコメンデーションシステムです。アマゾンで「あなたのおすすめ商品はこちら」みたいに出てくるのも、レコメンデーションシステムです。
機械学習を活用したレコメンデーションとは
機械学習のレコメンデーションシステムには、おおきく2つのタイプに分けられます。
- コンテンツベース
- 協調フィルタリング
という2つです。
コンテンツベース
コンテンツベースというのは、アイテム間の類似度に基づいたレコメンドです。例えば、ゴルフのドライバーを買った人には、ゴルフウェアもおすすめしよう、のように商品の関連性から行うレコメンドです。
協調フィルタリング
もうひとつの協調フィルタリングというのは、ユーザーの行動履歴から、おすすめする商品を決めるレコメンドです。
この場合、商品情報は重要な要素ではないので、思いがけない発見につながるレコメンドができます。例えば、「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」のようなレコメンドも、この協調フィルタリングのレコメンドになります。
さらに、この協調フィルタリングには、「アイテムベース」「ユーザーベース」と2つに分けられて、
となります。
こういったように、ひとことで「レコメンデーションシステム」といってもいろんなタイプがあるわけです。
旅行ガイドをあなた専用にパーソナライズする
KOMPASは、おそらく複数のレコメンデーションタイプを複合して開発されていると思います。
ユーザーの興味関心、予算、またユーザーの行動履歴から、似ている他ユーザーから推測されるレコメンドを行います。
また、商品間の類似度からのレコメンデーションも考えられます。例えば、ヨーロッパよりもアジアの国のほうが好きな人であれば、「タイ」「シンガポール」「インド」「マレーシア」のような国をレコメンドします。
機械学習を使ったレコメンデーションシステムにすることで、サービスをパーソナライズすることが可能になります。
まとめ
KOMPASは「旅行」というカテゴリーのアプリになりますが、機械学習を利用して「サービスをパーソナライズする」という観点で考えてみると、旅行以外の分野のビジネスに応用できるんではないでしょうか。機械学習の技術をうまく使うことで、既存のサービスの幅が広がります。
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この記事は以下ポッドキャストで話した内容を記事にしたものです。
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